旧豊郷小学校から南に約300mのところにある「伊藤忠兵衛記念館」を初めて見物した。この伊藤忠兵衛記念館は、初代伊藤忠兵衛の百回忌を記念して、初代忠兵衛が暮らし、二代忠兵衛が生まれた豊郷町にある旧邸(1998年に財団法人豊郷済美会に寄贈)を整備し、2002年4月より一般開放されている。入場料は無料であった。初代忠兵衛、二代忠兵衛の愛用品をはじめ、多くの資料が展示され、繊維卸商から「総合商社」への道を拓いたその足跡が紹介されていた。
初代忠兵衛がわずか15歳(1958年)の若さで、大阪経由、泉州、紀州へ近江麻布を持ち下り商いをはじめて以来、幕末から明治の初・中期という激動の時代に、全く独立独歩で各種の事業を興し、それらを大きく育て上げた。そこには革新と慈悲が生涯を貫き、偉業を達成させた原動力になった。伊藤忠商事㈱の創業日は、初代忠兵衛が15歳(1958年)で持ち下り商いをはじめた年になっている。
1903年初代忠兵衛が61歳で逝去、次男が二代目を相続襲名(17歳)し、初代から事業を受け継ぎ、それをさらに近代的な経営体へ変革するとともに取り扱い商品の幅を広げ、海外へ事業フィールドを拡張させた。いわば、今日の総合商社の基礎を作り上げた実業家だといえる。しかも、恐怖と戦争の時代に巨大化する組織を率いて見事にそれを成し遂げたのである。 総合商社の丸紅㈱は、初代伊藤忠兵衛の伊藤忠商店と伊藤長兵衛商店が合併(1921年)し、その後1945年にそれぞれ独立(伊藤忠商事㈱、丸紅㈱に独立)して今日に至っている。伊藤長兵衛邸の旧屋敷跡もすぐ近く(旧豊郷小学校と「伊藤忠兵衛記念館」の中間)にあった。
今回、伊藤忠商事㈱、丸紅㈱の創業者が豊郷町と知っていたが初めて訪れ見学し、その偉大さを改めて痛切に感じた。
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