2013年10月27日日曜日

旧豊郷小学校を訪問




滋賀豊郷町にある旧豊郷小学校をある用件で訪れた。数年前に古くなった校舎の建て替えか保存かで町が二分し、大きく新聞やテレビで報道され全国的に有名になった小学校である。結果的には建て替えせず旧小学校が保存され、その裏に新しい小学校が建てられた。この旧小学校は、昭和12年(1937年)5月30日、設計を担当した故ヴォーリズ氏により「日本一、東洋一」と人々にいわれた白亜の殿堂・豊郷小学校が落成した。当時としては最新設備を整えるものであった。 「国運の進展は国民教育の振興にある」と考える故古川鉄治郎氏が老朽化した母校の移転新築を提案。幾多の試行錯誤の上、当時60万円(現在の物価で十数億円)という、実に彼の私財の3分の2にあたる巨費を投じて、この一大事業を完遂させた。この篤志の行為に歓喜した村人から賛辞が述べられるたびに、「貧者の一灯ですよ」と彼は笑った、という。故鉄治郎氏は12歳の時より叔父伊藤忠兵衛のもと、丸紅の丁稚奉公から商魂を鍛えあげ、重役として活躍し、大実業家となる。そこで培われた情味豊かな「篤」の精神が、故郷に結実したとのこと。 旧校舎の耐震補強と大規模改修工事に着手し、 平成21年5月30日リニューアルオープンした。校門、通路、校舎の外壁、廊下、講堂なども復元されて大変綺麗になっていた。現在、旧豊郷小学校の史料展示室、教育委員会、子育て支援室・老人会の事務所、豊郷町の観光室などに、また映画・ドラマの撮影などにも多く利用されている。2階に上がる手すりに銅製の「うさぎとカメ」が置かれている。これは、故古川鉄治郎氏が幼いころ先生から「誰にも見ていないところで努力し、ゆっくりと進んでいきなさい」と童謡の「うさぎとカメ」のことを教えてくれたことが、成功し財をなした一つであるとことを聞いた故ヴォーリズ氏が感動し取り入れたためとのこと。故古川鉄治郎氏の銅像は正面入り口の右側にあった。
故ヴォーリズ氏が設計した建物は全国で教会や学校、ホテルなど1600件にものぼるが、この旧小学校にも故ヴォーリズ氏らしいところが随所にみられた。

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