2019年10月26日土曜日

北野家住宅・三井住友大阪本店

国の登録有形文化財にも指定されている北野家住宅は昭和3年(1928)、青果商だった北野栄太郎が建てた間口3間、木造3階建ての町屋。かつて店舗を兼ねた1階は土間であったが、現在は改築し床が張られている。2・3階は建築当時のままで、外壁はタイル張り、窓枠や各階につけられた庇の出桁まわりを銅版で覆っている。また、建物の左右から前に張り出したうだつを設けているのも特徴的。旧東区一帯は昭和20年(1945)の大阪大空襲で焦土と化したが、平野町周辺も例外ではなく大半の建物が焼失した中、この住宅は奇跡的に残った町家として、様変わりした市の中心部で当時の大阪商人の暮らしぶりを今に伝えている。また2階の押入れには屋根を突き破った焼夷弾(不発弾だった)に削り取られた内壁を補修した後が今も残っている。家主の話では、過去に3000万円で売ってほしいと随分あったが売らずに今日に至っているとのこと。それにしても相当傷んで来ているし、これから守っていくための補修代もかかり大変だろうと思う。家主は別に住まいされて、現在空き家になっているとのこと。
三井住友銀行大阪本店は、東西74m、南北84mに及ぶ大規模建築。1926年(大正15年)に第一期、1930年(昭和5年)に第二期工事が完成した。北東西の各エントランスは竜山石積み円柱に堂々としたイオニア式オーダー(古代ギリシア建築における建築様式)が施されている。濃淡のある自然石の風合いが生かされた分厚い壁に、奥行きのある縦長の窓が規則的に刻まれ、そこに生まれる陰影が、重厚で質実な印象をもたらしている。 内部の写真撮影が出来なかったのが残念。

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