2019年9月14日土曜日

ヨドコウ迎賓館

芦屋市にある「ヨドコウ迎賓館」に出かけた。この迎賓館は旧帝国ホテルなどを設計したアメリカの近代建築家フランク・ロイド・ライトの手による建物(1918年に設計、1924年に建築)で、ライトの住宅建築としては日本で唯一、ほぼ完璧な形で現存する。新聞報道によると最近、アメリカにてライトの手掛けた建築物が世界遺産登録への動きがあり、この迎賓館もその一つとして注目されているとのこと。
元々は灘の酒造家・山邑太左衛門の邸宅であったが、のちに淀川製鋼所の所有となり、「ヨドコウ迎賓館」と呼ばれるようになった。ライトは「有機的建築」を理想として、周囲の自然と調和するように建物を設計したという。2階の応接室には、ライト建築の見どころが凝縮されていて、壁の一部に大谷石が用いられ、細かな幾何学的模様が彫り込んであるなど随所にライトのこだわりが感じられる。窓につけられた「飾り銅板」は植物の葉をモチーフとして、光が木漏れ日のように透ける仕組みになっている。また、日本の湿度の高さを意識して、天井にはドアの形をした通風孔がたくさん設けられている。全体的に窓が多く、外の風景や山並みが楽しめるつくりになっている。
3階西側廊下の窓や欄間には、植物の葉をモチーフとした飾り銅板が多く使われている。光を多く取り入れたい場所では銅板に透かしを入れ、木漏れ日が落ちるような演出をほどこしている。銅板の色は緑に近づけるため、緑青(ろくしょう)というサビをわざと発生させるなど、細部へのこだわりが感じられ、光に透ける美しい影が見事。
4階のバルコニーに上がると絶景が広がって、遮るもののない山に建物があることを活かした設計で、芦屋の町はもちろん大阪湾までも見通せるようになっている。
「ヨドコウ迎賓館」は阪急電鉄「芦屋川」駅から歩いてわずか10分、JR芦屋からは約16分の距離にある。「ヨドコウ迎賓館」は美しい建築だけでなく、立地をいかした眺望も魅力的であった。

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