4月28日に一般公開された映画「わが母の記」を鑑賞。
井上靖の自伝的小説『わが母の記~花の下・月の光・雪の面~』を「クライマーズ・ハイ」の原田眞人監督が映画化した作品。
この映画の感動と称賛の声は、海の向こうから上がり始め、またたく間に世界各国に広がっていった。第35回モントリオール世界映画祭の審査員特別グランプリ受賞を皮切りに、続く第16回釜山国際映画祭のクロージング作品となり、その後もシカゴ、ハワイ、インドと、さまざまな国際映画祭の出品作に名を連ねている。
誰もが避けては通れない親の老いと死について描く。家庭の事情から、親から離れ、親戚に預けられて育った洪作(役所広司)。自分は親から捨てられたという憎しみが洪作の小説への原動力になったのも事実だが、洪作の母(樹木希林)への怒りが消える事はなかった。しかし、痴呆となった母の口から、ある詩がこぼれ落ちた時、洪作は初めて母を許そうと思うのだった。本作の核となるのは「痴呆」だが、観る人の心を揺さぶるのは、家族の絆であろう。哀れに見えるはずの認知症の母親を愛しく演じ上げた樹木希林の演技は素晴らしいものだった。
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