2010年9月14日火曜日

映画「悪人」を鑑賞

芥川賞作家・吉田修一氏の最高傑作「悪人」(朝日新聞夕刊に連載)が待望の映画化がされた。9月11日に一般公開され、第34回モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した深津絵里(37)が話題となり、どのような演技をみせる女優なのか大変興味があったので観に行った。
吉田氏自ら“代表作”と語る本作は、発売と同時に各メディアの絶賛と大きな話題をよび、第61回毎日出版文化賞、第34回大佛次郎賞をダブル受賞しベストセラーとなった。ひとつの殺人事件。殺した男と愛した女。引き裂かれた家族。さまざまな視点から事件の真相が明らかになるにつれ、読書はある疑問にたどりつく。「いったい誰が本当の“悪人”なのか」と。悪意にまみれたこの現代の中で、ひとは何にすがって生きれば良いのか。この究極のヒューマンドラマに胸を打たれた日本を代表する10人の映画監督が映画化を熱望し、20社以上に亘る映画化権争奪戦となった。そして本作を監督するのは『フラガール』で日本アカデミー賞を初め、各賞を総ナメにした李相日監督。人間の善悪を深くえぐる演出で豪華キャストの魅力を最大限引き出している。また原作者である吉田修一氏自身が、李監督と共に初めて手掛けた映画脚本は、重厚な原作の世界を映画的な魅力に昇華させることに成功した。音楽には、巨匠・久石譲が参加。数多くの宮崎駿作品、北野武作品を手がけ、『おくりびと』の大ヒットも記憶に新しい世界的な作曲家による、奥深く切ない音楽が映画にさらなる深い感動を加味する。『悪人』に呼び寄せられた至高の才能たちが、映画史に残る感動のヒューマンドラマを誕生させた。(公式サイトより引用)
あらすじは、土木作業員の清水祐一(妻夫木聡)は、長崎の外れのさびれた漁村で生まれ育ち、恋人も友人もなく、祖父母の面倒をみながら暮らしていた。車だけが趣味で、何が楽しくて生きているのかわからない青年。佐賀の紳士服量販店に勤める馬込光代(深津絵里)は、妹と2人で暮らすアパートと職場の往復だけの退屈な毎日を送っていた。「本気で誰かに出会いたかった・・・」孤独な魂を抱えた2人は偶然出会い、刹那的な愛にその身を焦がす。しかし、祐一はたったひとつ光代に話していない秘密があった。彼は連日ニュースを賑わせていた殺人事件の犯人だった。「もっと早く出会っていれば良かった…」、そんな中で祐一の自首を止めたのは光代だった。殺人犯との許されぬ愛・・・。生まれて初めて人を愛する喜びに満たされる光代は、祐一と共に絶望的な逃避行へと向かう。やがて地の果てとも思える灯台に逃げ込んだ2人は幸せなひとときを迎えるが、長くは無かった。逃げ回り追い詰められていく二人。捕まる直前、清水は光代の首に殺した佳乃の時と同じく手をかける。連行された清水は光代を脅迫して連れ回したと、光代を共犯者にしないようにうその告白。世論も手伝い光代は佳乃と同じく清水の被害者とされる。光代自身も次第に清水を信じられなくなっていく・・・。「誰が本当の悪人だったのか?」光代の疑問がとけないまま幕を閉じるのだった。
地方の閉そく感や人と人のつながりが希薄になった現代社会を鋭く反映した秀作であり、見応えがあった。また、 祐一(妻夫木)と光江(深津)の演技は勿論、脇を固める俳優陣もかなりのものだった。特に光江(深津絵里)の演技はさすがによいし、最優秀女優賞を受賞するだけのものがあると思った。

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