2010年1月31日日曜日

映画「おとうと」を観賞

30日封切の映画、山田洋次監督「おとうと」を観賞。
ストーリーの概要は、東京の郊外で、夫亡きあと小さな高野薬局を営み、一人娘の小春(蒼井優)を育ててきた姉・吟子(吉永小百合)。大阪で何ひとつ成し遂げないまま歳を重ねてしまった弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)。音信不通だった彼が突然、小春の結婚式に現れる。以前も吟子の夫の十三回忌で、酔っ払い大暴れした鉄郎。今日は一滴も飲まないと約束するが、酒を目の前にした鉄郎は我慢できず、酔っぱらって大騒ぎ、披露宴を台無しにしてしまう。激怒する身内の中、鉄郎をかばうのは吟子だけだったが、後日、ある出来事(女性への借金)がきっかけで、吟子は鉄郎に絶縁を言い渡してしまう。
季節が流れ、バツイチになった小春をひそかに想い続けていた幼なじみで大工の長田亨(加瀬亮)が、何かと高野薬局に顔を出すようになり、小春の表情にも明るさが戻ってきた。穏やかな日々が過ぎ、高野家では鉄郎のことが話題に上ることもなくなっていった。しかし、吟子だけは、最後に会った時の顔色の悪い鉄郎の姿が忘れられず、心配で大阪の警察に捜索願を出していたのだった。吟子の心配は的中。消息不明だった鉄郎が、救急車で病院に運ばれたという連絡が入った。反対する小春を諭して大阪に向かう吟子。駆けつけた大阪で、吟子の恐れは現実となる。鉄郎の身体中にガンが転移、あと何カ月も生きられないというのだ。吟子は去来する想いを胸に、鉄郎と再会を果たすが、その後小春や大工の長田、友達に看取られて哲郎が予言した4月7日に息を引き取る。
そして時が流れて、小春と長田がめでたく結婚することになり、結婚式の前夜義母の絹代(加藤治子)から大阪のあの人は来るのと言うと、連絡していないと吟子、小春は嘘をつくが、絹代は根は悪くないし来てもらったらと言う。吟子は義母絹代の温かい言葉で、そっ~と炊事場に立つて涙ぐむのだった。
冗談ばかりの弟と真面目な姉の微妙にかみ合わないおかしさを軽やかに演じると同時に、賢い姉であり母である吟子の家族への愛情を全身からにじませ、スクリーンに優しさと温かみを添えているよい作品だった。

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